後継者フローチャート(全部バッドエンド)
2006年4月6日『香乱記』を見ていて思い出した、李斯の事。
始皇帝の覇業を裏で支えた宰相として悪名高いこの人物、友人として、
あるいは同僚としてはどうかと思うものの、歴史上のいちキャラクタと
しては大好きな部類に入る。
元々戦国期の秦の宰相には、公孫鞅に張儀に范雎に呂不韋などなど、
ある意味で魅力的な人物が揃っている。それは、単純な聖人君子にはない
したたかさをもつ割に、精神的或いはは環境的に致命的な欠点があったり
する点だろうか。或いは virtu はあっても fortuna が無い、とでも
いうべきか。
とにかくそういう魅力で言うなら、ネズミのこと、韓非のこと、後継者の
事、そしてその末路を思うと、李斯は飛び抜けている。
この李斯、『奇貨居くべし』ではなぜか完全無欠の小悪党という扱いに
なっていて残念に思っていたのだが、『香乱記』では”それらしい”
キャラになっているようで、なかなか良い感じである。
まぁ前回は主役を蹴落とす役で、今回はそれ以上の悪役に蹴落とされる
役だから当然なのかも知れないが。
そういえば、李斯が主役の小説というのはまだ出ていないようだ。
始皇帝を扱う場合には小さくない役柄であるだけに、却って主役に据える
事が難しいのかも知れない。が、それにしても惜しい。
范蠡など土地勝手処世に失敗しているからPHP文庫化も期待できないし。
PHP文庫の内容に期待しているのか、とかいう突っ込みはナシよ?
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