『香乱記』を見ていて思い出した、李斯の事。

始皇帝の覇業を裏で支えた宰相として悪名高いこの人物、友人として、
あるいは同僚としてはどうかと思うものの、歴史上のいちキャラクタと
しては大好きな部類に入る。
元々戦国期の秦の宰相には、公孫鞅に張儀に范雎に呂不韋などなど、
ある意味で魅力的な人物が揃っている。それは、単純な聖人君子にはない
したたかさをもつ割に、精神的或いはは環境的に致命的な欠点があったり
する点だろうか。或いは virtu はあっても fortuna が無い、とでも
いうべきか。
とにかくそういう魅力で言うなら、ネズミのこと、韓非のこと、後継者の
事、そしてその末路を思うと、李斯は飛び抜けている。

この李斯、『奇貨居くべし』ではなぜか完全無欠の小悪党という扱いに
なっていて残念に思っていたのだが、『香乱記』では”それらしい”
キャラになっているようで、なかなか良い感じである。
まぁ前回は主役を蹴落とす役で、今回はそれ以上の悪役に蹴落とされる
役だから当然なのかも知れないが。

そういえば、李斯が主役の小説というのはまだ出ていないようだ。
始皇帝を扱う場合には小さくない役柄であるだけに、却って主役に据える
事が難しいのかも知れない。が、それにしても惜しい。
范蠡など土地勝手処世に失敗しているからPHP文庫化も期待できないし。
PHP文庫の内容に期待しているのか、とかいう突っ込みはナシよ?

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

この日記について

日記内を検索